2時半過ぎ、完全武装にて家を出る。でも、空は真っ白。そう、真っ白に雲が覆っているのだ。なんてことだ。年が明けた頃から、ずっと楽しみにしていたというのに。ここであきらめるわけにはいかない。その雲の隙間から見えるかもしれないんだから。
BGMはやはりグールド。もちろんバッハのゴールドベルク、最後の録音。その静かなピアノの音に心落ち着かせながら、星を探しにでる。夜空はどこまでも白くて、そして、見えるはず、というそういう強い意識が、流星が見える錯覚を引き起こしている、そういう気さえしてくる。あれはほんとに流星だったのだろうか、すぎてしまえば、どちらでもかまわないことだが。
30~40分ほど回って、なかばあきらめて部屋に戻ってくる。と、どうしたことだ。空が見えてる。星が見える。オリオンが頭上に。西から東に向かって綺麗に雲の層はなくなっていた。まさにこのときのため、といわんばかりに。そして、星が流れていく。幾つも幾つも。長い尾を引いて。
この間の月食があったときから、もう僕の心は、この日の流星群に向かっていた。
そして、今こうやって目の前に星降る夜を体験している。多分僕以外にも多くの人が同じようにこの空を見上げているに違いない。このリアルタイムの一体感。これがたまらない。全く関係のない人たちと、同時刻に、同じものを見て、そして同じようなことを感じている。そう思うだけで、そう思えるだけで十分。そのために、こうやって空を見上げているのだから。そんな、巨大な共有を、共有感を、空は無償で与えてくれる。
冷え切った空、澄み渡った空に、幾本ものスジが走っていく。たとえ、あれは単なる塵が燃えているだけだ、とそういってしまっても、その神秘性は少しも揺らぎはしない。そんなことを考えながらも、時間はどんどんとたっていく。
一息。もうピークは過ぎてしまった。すでに2時間ほどが経過しようとしているようだ。この感動をどうしよう、と、忘れないうちに書いておく。もっと書きたいことはたくさんあったはずだけど、言葉になんかなるわけがないから、この時間を共有した人の記憶を呼び起こすキーにでもなれば幸いだろうか、と。
そして、眠いです。5時半に寝て、7時半に起きて登校。作業して、ゼミの準備、講義、などというスケジュールをこなして、さっき自宅のパソコンの前でうたた寝してました。
今年の天体イベントもこれで終わりですかね。月食、木星食と来て、流星群。すべて堪能させてもらいました。今日の月も綺麗でしたよ。