2.1

 日没、16時50分。
 何気なく、そして久しぶりにこんな時間に空を眺めていた。前も書いていたけど、こちらの日没は、今までの22年間に培われてきた時間感覚とは、若干の差がある。もう日は沈んでしまった。夕陽を見るためには、ずいぶんと早い時間に空を見上げなければならない。
 ほんと久しぶりだな、と、空を仰いでいた僕の目が一点でとまった。月並みだけど、全身を衝撃が走ったのはいうまでもなく、しばらくの間、目をそらすことはできなかった。
 そこに月があった。僕の記憶では、2日前がちょうど新月だったはず。そのときは、だいたい月齢0.6ということになっていたわけだから・・・そういう思考が駆けめぐる。
 三日月なんて簡単にいうけれど、そんなに簡単に見えるものではない。陽の高いうちは、ほとんど太陽の明るさの陰に隠れてしまうし、日没の後を追って月も沈んでいくから。今日の月没は18時25分。その差はたったの1時間半。1時間半とはいうけれど、実際のところ地平線なんて見えないわけだから、1時間もない。
 そんなごくわずかの間に空を見上げたものだけが、こういう月を目にすることができる。あまりに細いものだから、月の剣なんていわれたりもするわけで、見逃してしまうことは多々あるのだろう。
 写真を撮ろうとも思ったけれども、僕の技術とカメラの性能では、この薄暗い空に浮かぶ細い月を記憶よりも鮮明に記録に残すことはできはしなかった。ただ、記憶のファイルの中に書き込まれただけ。そしてこうやって文にすることで、あとでまたこの瞬間を思い出すこともできるから。
 久しぶりに、夕暮れ時に空を見上げることができて、やっぱりこの感覚は忘れたくないな、ってそう心に誓う。

連絡:
○明日(18日)はサーバのメンテナンスをするので、朝から晩までつながらないと思いますが、ご了承ください。○19日未明、3時19分頃、東の空に獅子座流星群が見られます。この日くらいは頑張って夜更かしして、寒いけれども、この星降る夜を堪能しましょう。