銀河鉄道の夜

 のDVDを見てました。(劇場版、アニメですね)なかなかDVDででないなあ、と思っていたら、いつの間にかでてたみたいで、実家にあったので借りてきました。
 このアニメ、多分、僕くらいの世代の人なら見たことがあるだろうと思いますし、そういう意味では、この「銀河鉄道の夜」のイメージはこれに影響を受けていることと思います。そう、登場人物が猫なんですが。ジョバンニもカムパネルラも猫です。
 で、このアニメ、僕がここでも何度か紹介してましたますむらひろしさんによるものなんです。というか、宮沢賢治の童話をいくつも漫画にされているんですが、たいがい登場人物は猫になってまして、それで、映画化になる時もそのままだった、というわけですね。原作宮沢賢治、原案ますむらひろし、ということです。しかも、よく見てみると、音楽は細野晴臣さんだったようで、昔は全然知らなかったけど、確かに今聴いてみるとそういう感じでてますね。

 さてさて、僕がこの「銀河鉄道の夜」を語る時に避けては通れないことがあります。それがいわゆるところの初期型の原稿、ブルカニロ博士編ともいうことがありますが、なんです。まあ、今現在よく知られている最終的な形になるまで、何度か書直しをしているみたいで、ずいぶんと様子が違うところがあります。なんといっても、カムパネルラが死なないくらいですから。こちらは、ブルカニロ博士の実験で博士がジョバンニに機械を使って自分の考えを伝える、というそういう話になっているんですが、まあ、そのあたりはどうでもよくて、この初期型にしかあらわれてこない重要な人物がいるんですよ。(もちろん博士以外で)
 詳しくは、直に読んでいただくといいと思いますが(今日追加したリンク先から比較しながら読めます)、カムパネルラがジョバンニの前から姿を消したあとに、突然あらわれたその人物の台詞としてこういうのがあるんです。「みんなめいめい自分の神様が本当の神様だと言うだろう。けれどもお互いに他の神様を信ずる人のしたことでも涙がこぼれるだろう。それからぼくたちの心がいいとか悪いとか議論するだろう。そして勝負がつかないだろう。けれどももしおまえが本当に勉強して実験でちゃんと本当の考えとうその考えを分けてしまえば、その実験の方法さえ決まれば、もう信仰も科学と同じようになる」
 この最後の「信仰と科学は同じようになる」というのに僕は非常に心を打たれたのを今でもおぼえてます。というか、この台詞自体、今でもたまに頭に浮かんでくるんですよね。それくらいインパクトのあるものでした。僕の中では、この部分がかなり重要なメッセージなような気がして、なぜこの部分を削除してしまったんだろう?と思わずにはいられません。で、皆さんにも普段知っているこの物語とは、違った見方が出来るんじゃなかろうか、というわけで、紹介してみました。
 これに関しては、今日追加した「森羅情報サービス」というサイトで、原稿の変遷をたどりながら全文を読めますので、ぜひ一度見てみてくださいな。