独り言

 ちょっと遅くなってしまったけど、ほんとは、普段これを書いているような時間に、パソコンの前にいた。でも、書く気にはならなかった。別に書くことがなかったわけじゃなくて。書きたいことがあったがために。
 ここ数日、今日も含めて、お気づきの人もいるかもしれないけど、とりあえず「独り言」の文体はなにやら微妙に変なことになっている模様。理由は多分簡単。本を読んでいるから。村上春樹の最新作「海辺のカフカ」を。そして、先ほど読み終えた。だから、読み終わるまでは、「独り言」を書く気にはならなかった。
 感想?愚問かな。でもいうなれば、『ことばで説明しても正しく伝わらないものは、まったく説明しないのがいちばんいい』ということだろうか。(といいつつも文章にはする。これは一つの記録・記憶だから。webでつながっているみんなにとってというわけではなくて、自分にとっての)あれがなんだったのか、といえば、いいようのない気持ちになるし、今の僕を的確に描写するなら、飽和(あるいは空虚)、だとでもいうのだろうか。そして、これを読むのが、今でよかった、とそれが正直な感想。いいことなのか、悪いことなのかわからないけど、飽和(あるいは空虚)な自分から、普段の自分に戻ってくるのに、最近はそれほど時間がかからなくなったから。明日、朝、目が覚めれば、普通の生活が待っているし、余韻に浸っている時間はそんなにない。それは、多分、今の僕にとってはいいこと。だといい。
 「強さ」について、むかしよく考えたなあ、とかちょっと物思いにふけったり。なんだったか、『強い自分自身を自分の手で葬ることのできる強さ』そんな「強さ」ないからこうやって生きているだ、と。
 また、しばらく時間をおいて、何度でも読み返すことでしょう。もっと一つ一つの出来事を、一人一人の人間を、ゆっくり噛みしめなければならないな、って。

 芸術の秋なんていって、実は、今日は演奏会を聴きに行ったりもしているけど、それはまた別のお話。電車から降りて階段を上り地上に出てきた時、自転車を止めて神社の坂道をあるいて登る時、目の前にはやっぱり月が浮かんでいて、明後日をいっそう待ち遠しくさせる。それが、今日の全て。