ストリート

 大学はすっかり来週頭の入試の雰囲気になってました。そういえば、そうだったな、と。でも僕が理学部を受けたときは、大学ではなくて予備校だったので、ここで受けた記憶はないな、なんて考えつつも、最近は就職活動なんかもしてまして、今日は大阪に行ってました。
 夕方、企業のセミナーも終わり、京橋の駅に向かっていますと、なにやら駅の方から音楽が聞こえます。京橋の駅というと、ちょうど京阪とJRが向かい合わせになっていて、その間の広場はちょっとした不思議な空間になってるんですが、どうやらそこから音楽は聞こえてくるようでした。しかも、そのメロディーはいつも河原町とかで聴くようなものとは違いまして、まあ、いってしまえば、アンデスの音楽だったんです。聴いた瞬間に感じました。
 そして、記憶の中からある断片が呼び起こされます。そういえば、昔兄上が福岡の駅までアンデスの音楽をするグループにあって、思わずCDを買ってしまったとか。そのCDは僕も何回も聴きました。いい音楽でしたから。
 もしかしたら、その一団ではなかろうか、そういう思いが高まってくるのを感じながら、角を曲がり駅の前にやってくると、確かにそこにはアンデス音楽の空間が広がって、そう確かに楽器の音もCDと同じだし、歌う声も同じ、それに、一人のメンバーはCDを手に持って宣伝している様子。これだ!この人たちだ。そう、記憶によれば全国を渡り歩いて、ストリートで演奏しているとか、そういう話だったはず。やっと僕も会えたんですね。
 人だかりの中、わずかな間でしたが、その音楽に酔いしれていました。しかし残念なことに、そうまでのんびりしてる余裕もなかったし、なにしろ疲れていたので、背後からやってくる音に名残惜しさを感じつつも、そこをあとにすることにしました。2度と見られないかもしれない、でも、もう1度見られるような気がする。そんな気持ちだけを残して。また見られるといいな。