「リスト (作曲家・人と作品シリーズ)」を読みました

所属オケで新シーズン始まったので、それに合わせて新しい人を。

なんかとにかくピアノがうまい人っていうイメージしかなかったんですが、いろいろ印象変わりましたね。

確かに史上初めてピアノだけの演奏会を開催した人ではあるけれど。そして、ピアノだけのリサイタルのために既存のオケ曲をいっぱいピアノ用に編曲したのか、なるほど。

なんとなく同時代のブラームスと二大派閥を、と思っていたけれど(実際「ブラームス」の本を読んだ時はそういうふうに受け取った)、こちら側から見ると別に相手をどうとかそういう感じではなく、目指すものはそんなに違わないけれど、ちょっと音楽の作り方が違うだけっていう感じだし、単に担ぎ上げられた感じもあるなあと。なんでもそうだけれど、両側からの視点大事、ってやつだこれは。

宗教どっぷりなところ(聖職者になったり、曰く「音楽は本質的に宗教的である」)も初耳でしたので、せっかくなので「キリスト」をBGMにしてみたりとか(あくまでBGMだったので、ここではとても壮大な曲でした、と書いておきます)

天才はみんなの役に立つべき、っていうのもすごいっすね。だからいろんな人に教えてきたし、音楽院もできたんですねえ。なんなら、今度のプログラムであるボロディンさんもリストのところに来てるし、いろいろつながってた。といっても、同時代の作曲家なら、みんななにかしらつながりあったりするよね、というところではありますが。

ピアニストエピソードとしては、グリーグの持ってきた例の協奏曲を初見で弾いたって話があって、演奏されたこともない曲を初見で弾けるのか!って思ったり(いや、実は、偉大なピアニストならそのくらい当然、なのかもしれないけど・・・)

そんなわけで、リストの曲に対する見方がずいぶんと変わった気もしますし、これで自分の音も変わるといいですよねえ(そこはなんとなく他力本願)

「黒死館殺人事件」を読みました

買ってから奇書だって知ったわけです。実のところ。というのもこのカバーのせい。

文豪ストレイドッグスというアニメ/マンガのキャラクター(キャラ名がそのまま文豪の名前なのです)がカバーになった文庫がでてまして、これなら子が読んでみたいというから。。。つい大人買いを。

文ストカバー本 – itokの日記(2023.5.15)

そして、自分も読んだことないのがあったので、まあ、ミステリーっぽいしここからいくかと、虫くん(文スト内でそう呼ばれてる)の本を手に取ったのが運の尽きか。

厳密にいうとまず先に載っていた「完全犯罪」の冒頭数ページでしんどかったのです。これはつらい。でも80ページくらいだったしなんとか、、、と読み終わったあとにやってきた超難関。

虫くん「完全犯罪」 – itokの日記(2023.5.26)

↑でも書いてるけれど、ミステリーっていうかファンタジーだよね。異世界ミステリーみたいな。多分生きてる世界が違う。

明かされた?トリックに「そうはならんやろ!」って突っ込んだり、なんでみんなこんなに小難しい話が普通に通じてるの?って思ったり、紙面に並んでる難しい言葉たちを文字としてふわ〜って広く浅く目でなぞりながら読んでました。

終盤、そろそろ解決するか?となってから、でもあとこのページ数でちゃんと全部回収されるのか?って逆に不安になったり・・・(以後ネタバレ禁止、って誰も読まないか→とか言ってたら、子に「ネタバレ禁止」って言われた

読み終わったあと、なんか「黒死館殺人事件 解説 ネタバレ」とかで検索して、自分の理解が正しかったのかを確かめてしまったしだい。なにが正解かはわからんけれど。

そして、これ読んだら「自慢できる」らしいですね、それも知らんかったわ。別に最初の2行で挫折するとかはなかったです。それをいうなら「完全犯罪」のほうが最初で挫折しそうだったけれど。

いや、なんかすごい本を読みました。でも、通勤途中とか、寝る前とか、意外に一気に読めたかなと。

まあ、もしこの不思議な世界を試してみたい方がおられましたら、ぜひどうぞ。

「街とその不確かな壁」を読みました

久しぶりの新作、ですね。ブログをさかのぼると、自分が最後に読んだのは短編集で3年前だし、前の長編といえば「騎士団長」かと思うとそれはもう6年前で、そんなになりますかっていう感じ。

発売日に入手したものの、演奏会本番前に読みはじめると寝不足になりそうだったからと、その後にぼちぼちと読みはじめ。長編といっても分厚い単行本1冊なので、そんなに長いというわけでもなかったかな。

なんか、こう既視感みたいなのあるよねと思いつつ、同じ人が書いたいろんなたくさんの作品を読んできたわけだからそりゃどこかでいろいろ似たような部分もあるでしょうとか、そういうことを思いつつ、でもそんな感覚も最後までいくとフワッといつもの不思議な浮遊感で、なんとかかんとか(ネタバレ禁止、だけど、帯の文言はなるほど)。

また昔の作品読みたくなるねえ、というのはいつものことですが、今回はまたちょっと違う感じで、それもまた納得というかなんというか。

そういや、これを読んでる時に子に「これはミステリーとかなん?」って聞かれて
「いや、ミステリーじゃないな」
「じゃあ、なに?」
「えーと、、、(村上春樹のジャンルって一言で言うとナニになるの?)、、、強いて言えば、ラブストーリー?」
みたいな。

さて、じゃあ、どれを読みなおそっかな。まずは本作をもう一度っていうのもアリですね(というか、すでに読み直しはじめてる

「ドビュッシー (作曲家・人と作品シリーズ)」を読みました

作曲家の本を読んでいこうシリーズもこれでいったん一段落。

ドビュッシー – 音楽之友社

ピアノ好きなので、好きな作曲家といえばドビュッシー、というわけで、ドビュッシーのピアノ曲ばかり聴いていた頃もありました。たまには弾くほうでチャレンジしてみたのも今は昔。

先駆者はいつも大変そうです。そして天才か。もちろん、作曲家といっても人間だよねえという人間味あふれる話から、同時代の同業者とのやり取りもあってなるほどなるほど。芸術家ってそういうことだと思いますが、職業作曲家というのは大変そう。

終盤は第一次世界大戦とかぶるのでそのあたりが私でも知ってる歴史の1ページとリンク。

上述のようにドビュッシーといえばピアノ、という感じでしたが、もちろんそれだけじゃなくて、歌曲とか舞台芸術的なものも興味出てきますね。早速最後の作品といわれてるヴァイオリンソナタを聴いてみたり、噂の牧神の午後をバレエ付でみてみたり。

(こういうときに、海の向こうでははじまっているクラシック音楽専門のApple Musicがあるとほんとに便利なのだけれど・・・)

バレエはチャイコとかプロコとかの一部しか見たことはないけれど、牧神は当時の人には衝撃的だったのはなんかわかる気がする。バレエ自体はドビュッシーのせいではないけれど。

晩年に6つのソナタを企画していて、その6曲目が「コントラバスと器楽合奏」のためのソナタだったそうですが、結局全く手付かずで、はたしてどんな曲になったんだろうな、と。

と、まあ、時間あきつつ3冊読んでみましたが、また縁のある作曲家のこういう本も読んでいきたいものです。縁、という意味では次は誰だろう。

「ブラームス (作曲家・人と作品シリーズ)」を読みました

作曲家関係の本を読んでいこう企画。

ブラームス – 音楽之友社

作曲家にフォーカスした本といえば、たとえば伝記とかになると思うんですが、伝記という意味ではそれこそ子どものころに読んだような世界の偉人シリーズ的なもの以来ではなかろうか、と。

といいつつ伝記というよりは、ブラームスを取り巻く世界とともに、当時の手紙とか関係者の話も織り交ぜながら、ブラームスとその曲を深掘りしていこうという感じ。

いつも話題にしているシューマンとクララの話はもちろんですが、ワーグナーとの関係(というほど関係はないけれど)とか、同時代の作曲家とのつながりとかいろいろあって「あーこの人も同じ時代だったのか、っていうか直接会ったこともあるのか」などと新しい発見。

もともとピアノ好きなので、ブラームスのピアノ曲もたくさん聴いてたし、挑戦しようと思ったこともあったので、その辺の話もよかったなあ。なにより、今どき気になる曲はそのまま配信で確認できたりしてよいですねえ。気になるという意味では、最後の管弦楽曲としてのVn&Vc協奏曲は自分自身あまり触れてこなかったですが、ちょっと聴いてみるかあ、と。

ほんの最後には各曲に対する解説もざーっと載っていて、いろいろと参考にできそうな予感もありつつ。

個人的にチャイコフスキーの5番の本人指揮をブラームスが聴いた時にエピソードがツボで、
ブラームス「フィナーレをのぞくとすべて気に入った」
チャイコフスキー「ブラームスも演奏者もフィナーレは好まなかったが、実は私もかなり嫌なのだ」
だってさ。

作曲された当時の背景から作曲者の曲に対する想いがちょっとだけでものぞければ、自分が演奏する時のわずかな糧になるかもしれない。たぶん。しらんけど。

というわけで、縁がある時は積極的にこういう本も読んでいきたいですね。

「プロコフィエフ短編集」を読みました

ご存知作曲家のプロコフィエフさん、に関する短編集ではなくて、プロコフィエフ本人が書いた短編集です。作曲や演奏だけじゃなくて物語も書くのですか、と。

イメージとしては、欧米作家の近代の短編と雰囲気近いかなあ、という感じ。まあ、そういう時代の人なのでそりゃそうだってことですが。

音楽に関する話はほぼなくて、というか1話だけ楽器が出てくるんですが、この先どうなるか?って思った矢先に「未完」という悲しい結末(ネタバレごめんなさい)

あとは子どもが主人公だったり、ちょっと恋愛モノっぽかったり、ひたすら不思議な世界だったり、おっさんがだべってたり、そんな小説たちがつまってました。

後半には、日本滞在中の日記も載っていてこれも結構面白い。日本滞在中に多くの短編を書いていたようで(作曲はほとんどしていない)それについての記述がちょうど「さっき読んでたやつここで書いたんや」ってなったり、ほかにも日本のクラシック聴衆についての辛辣なコメントがあったり、金策や芸者の話などなど人間味あふれる感じ。

京都奈良方面に来られていたのは何となく知っていたんですが、読んでいるとなにやら京都観光で『トンネルを備えた水路を舟で巡った』らしく「これって琵琶湖疎水やん!」ってなったのがこの本で一番のハイライト。いやあ急に親近感わいてきましたねえ。

最終的にアメリカに渡っていくんですが、タイミングによっては日本で作曲の依頼を受けていたかもしれない瞬間があって、こういうのも縁だなあ、と。

ちなみに、今プロコフィエフの交響曲に挑んでいるわけでして、だからこそこれを手に取ってみたのですが、小説を読むことで演奏になにかいい影響をっていう雰囲気はそんなにないんですけれど、この人は音楽も物語なのかなっていうぼんやり思っていたこと(言われていたこと)を改めて感じたというか、そういう次第です。日記で人柄も何となくわかったし、イメージ大事ですからね。

プロコの音楽に触れたことのある人は(そうでない人も)一度は手に取ってみるといいかもしれません。作曲家の書いた小説ってあまりなさそうだし、日記だけでも面白いけど、小説のほうもぜひどうぞ。

さて次はどちらに行くかな。(そういや、日記にドビュッシーについての言及もありましたね)

「三体0 球状閃電」を読みました

あの三体シリーズの前日譚?ということで早速。

実際のところ、原作の発売順としてはこっちのほうが先だったらしいですが、日本での発売が三体シリーズのあとになったこともあって「三体」というタイトルは日本語版だけのものだそうで、という関係。当時からどこまでシリーズとしての構想があったのかはわかりませんが、登場人物は少しかぶってる。というか、後書きを参考に三体本編のページをめくったら、確かにこの「球状閃電」での話題でてましたわ。なるほど。

SFの想像力はすごい。マクロな量子力学とは。リアル?シュレディンガーですよ。

単に宇宙に行ってドーン、とか、宇宙戦争が、っていうんじゃなくて、今回は完全に地上だけの話。戦争絡みなので、そこはちょっといろいろ思うところはあるけれど(日本ではこういう舞台設定にはならなそうとか)、それはそれとして。

いつもながら登場人物の名前を把握するのに多少手間取ったりしますが、まあでもそんなに主要キャストが多いわけじゃないから、中盤以降になってくるとだいたい大丈夫。

いろんな伏線が絡み合いつつも、理論物理系なSF話。三体を読んだ人にはぜひどうぞ。読んでない人もここから三体に進んでもいいかもですね。

「そして、よみがえる世界。」を読みました

アガサクリスティー賞ってことで手に取ってみました(といいつつ、Kindleまとめ買いキャンペーンの最後の1冊が見つからなくて、という事情もあったりなかったりでしたが

ひさしぶりに小説を読んだ気が・・・いやいやラノベは結構読んでたわ、あれ?ラノベとそれ以外の違いってなに?ってそんなこと思いつつ。というのも、VR、MR、メタバース、電脳技術的ななにか、という近未来SFで、要素的にはわりと自分に物語としてなじみのあるモノが多かったので読みやすかったですね。

前半は世界観の構築に時間がかけられていたので「事件おこるのかな?」とか思ってて、子に「なに読んでるの?」って聞かれた時も「近未来SFのミステリー、まだ事件起きてないけれどw」みたいな返しをしていましたが、その数分後に事件起きましたね。ちゃんと。

裏事情が明らかになってくるところは、ほほーなるほどー伏線回収きたなーみたいなわくわく感ありつつ(猟奇的な側面もあったけど)、でもこれじゃ終わらんよね?あれはまだ回収されてないよね?ってところからラストスパート!

ちなみに、電脳技術的なやつで自分の支配下にあるロボットに自分を介護させるっていうアイディア(これは冒頭に出てくる話なのでネタバレとかじゃなく)は新鮮でした。自分自身を機械化して置き換える、ってことまではしないあたりが地続きの未来感、かな、とか。

受賞作ってことでそれなりに若い作品ですが、400ページ弱で、あっという間に読み切れてしまうので、一度手に取ってみるのもいいかもしれません。

『問題解決のための「アルゴリズム×数学」が基礎からしっかり身につく本』を読みました

「読みました」と書いたものの、途中の問題は一切問いてないし、サンプルコードもざーっと見ただけなんで「目を通しました」が正確ですけれど(汗

問題解決の手法、考え方を、図解で、カラーで丁寧に解説してくれています。なんかわかった気になる。と思う多分。(夜に読んでいると、数学的考察とか、たまに意識がとびそうだったけど)

自分のことでいうと、もともとそんなに量の多い計算をするわけではありませんが、にしても最近は特に計算リソースも豊富になってきたし、既存のライブラリも充実しているし、いわゆる「富豪プログラミング」的な感じでコードを書いている気がする日々です。(組込でCとかをべたべたに書いていた時はもう少し違った、と思う)

もちろんそれがいい悪いじゃないけれど、なにかボトルネックになる計算に出くわした時に、それを自分の手で改善する必要が出てきた時に、こういうところに立ち戻って、問題を分割し、最適な解をみつけることも大事だなと思った次第。

その意味では、3〜4章にあるような各アルゴリズムの解説はもちろんですが、5章の考え方、というのが一番役に立ちそうな気がしました。

(余談ですが、これ、現役大学生が書いた本なのよね。すげーな、ほんまに)

「心理的安全性のつくりかた」を読みました

ここのところ耳にする機会が多くなった気のする「心理的安全性」、チームで気兼ねなく意見の言い合えるそういう環境、そんな話にちょっと触れてみました。

っていっても、ひとり会社で基本ひとりで仕事をしているわけで「チーム?」という感じですけれど、まあそれはそれとして。

こういうチームビルディング的な話って、別にビジネスに関係するものだけじゃなくて、たとえば趣味の集まりとか、近所付き合いとか、家族とか、そんな間柄でも参考になることはいっぱいありますよね。っていうのがこの手の本を読んでいてよく思うこと。もちろん、ビジネスの話全部をプライベートにもってくる必要はないのですけれど、考え方として参考になることは多い。

たまにはちゃんと感想を書いておこうと思ったのだけれど、紙の本にマーキングする人じゃないから、そこそこ時間かけて読んでいると、それなりに最初の方のことを忘れているよね、、、と。こういう時、電子だともっと気軽に印がつけられるのかもしれない。でもマンガ以外は電子よりは紙で読みたい派なんだよなあ、と。(次からはせめて付箋でもしておくか

というわけで、気になったワード(自分なりの解釈含む)を並べておくことにします。書くことで多少は振り返れるはず>自分が。

  • 罰でものごとは改善しない
  • 自分もちゃんと当事者になる
  • 精神(論)では人は変わらない。実際の行動大事
  • トラブル時には「ちょーどよかった」
  • 思考と現実が違うことを認識
  • きっかけとみかえりを分析
  • 理由つきの感謝大事

こうやって書いていくと、チームビルディングの話というより、行動分析ってことなのかな。自他の行動をちゃんと分析して、そしておたがいが気兼ねなくコミュニケーションをとりあえるような場を形成していくってことか。

自分が実践できるかもなかなかむずかしそうな気もするので、実際に動いているチームで導入していくのはそれなりにハードルはありそうだけれど、効果ももちろんありそう。今は心に留めつつ、人とのコミュニケーションがとれていけたらいいな。(コミュニケーション苦手ですけども・・・