「バッハ (作曲家・人と作品シリーズ)」を読みました

大物きました!パパ。

読み始めて思ったわけですが、バッハさん、本人が直接残したものって楽譜以外にはすごく少なくて、教会とか学校に残された記録が頼りになっていたり、しかも17-18世紀って江戸時代だし、他の音楽家以上に古い歴史上の人物の足跡をたどるっていう印象が強かったです。いついつどこどこでこんなことしたんじゃないかといった推測とか、そういうのばかり。ちょっとニュアンス違うかもですが、今まで読んできた作曲家は近代史から現代史という感じですが、バッハは近世史ということなんだなあ、と。

なにしろ、譜面もすべてが出版されているわけじゃない(というかほとんどされていなかった)から本人の直筆譜かまわりの弟子親族の筆写しか残っていないわけですし、それすらも残っていない記録にしかない失われた譜面(遺産相続とか、その後に売却されたり)もたくさんあるようで。

あとバッハ一族ひとが多すぎる。分類上、親族にみんな番号振られてましてね。我らがセバティアン(みんなバッハなので文中ではセバティアン)は24番でした。

そんなわけで本文中には日常的なエピソードのようなものはほとんど無くて、バッハの人となりとか、どういう思いで曲を、みたいなのは感じ取りにくかったわけで、とはいえ膨大な資料の前にあるたった一冊の本を読んだだけですけれど、その向こうにある広大なバッハの海をちょっとだけ垣間見た気がしました。ある意味これが歴史ロマンということなのかもしれない(知らんけど

愛妻家っていうエピソードをよく耳にする気がするのも、他に人柄的なもの(大勢に影響しない範囲で)が見当たらないからかもしれないですね。ちなみに、前妻との間に7人、後妻との間に13人の子どもができました。

そうそう、メンデルスゾーンさんが、マタイ受難曲を復活上演したことで再評価され、研究が再開されたっていうくらいで、バッハ研究自体も歴史が長くて・・・と書いていたら支離滅裂になってきたので、気になる人は手に取ってみてくださいな、と。

オケではなかなか巡り合わないですけれど、弦楽アンサンブルでは三度目のご対面。今までよりはちょっとだけ近づけた気がするし、またよろしくお願いします、ってことで。

「シューマン (作曲家・人と作品シリーズ)」を読みました

今シーズンの作曲家はこちら。先日芥川さんも読みましたけれど、シューマンはいつものシリーズで。

クラーラ(クララ)とのラブラブ話はなんとなく知っていたものの、もともとはクラーラのほうが有名な音楽家(ピアノ奏者)過ぎて父親から猛反対、結婚するために裁判までしたなんてね、それは大変。あとでちゃんと義父と仲直りできたからよかったけれど。

メンデルスゾーンとかリストとか、そういえばそっちの評伝読んでた時にもシューマン出てきたよねえ、という同時代の作曲家つながりのある中、例の人物はなかなかでてこないなあと思っていたら、終盤にやってきました若きブラームス。ブラームス以外の三人は生まれもほぼ同時期だけれど、ブラームスは20年以上年下だから仕方ないですが。そして、意図していないブラームス vs ワーグナーの構図(これもいろんなところで読んだな)。

精神的な起伏が激しめで、すごい多産の時もあれば、そうでない時も、、、という感じですし、最終的には精神病んじゃって、クラーラにもほとんど会えずにって感じでちょっとつらい最後でした。

作曲家として残っていますが、文才もあった(という親は出版業界)ようでそれで音楽評論とかいっぱい書いて、そうそう↑のブラームスの件とかもそうですよね。多く歌曲もそういうところからでているかと思うと、また知らない一面を垣間見たかな、と。

さて、ケルンの大聖堂まだできてなかったんか〜と思いながら、ライン弾きますかね。

そういや、この時代のみなさんのエピソードに出てくるワーグナーさんについてはまだ読んでないなあ。オケでやる機会が、、、ということなんですけれど、そのうちあるかな。

「脳と音楽」を読みました

SNSを流れてきたので気になって手に取ってみました。

で、これこそ私がほしかった本でした、ほんとに。

もともと科学(数学)と音楽の話は結構好きで、こちらとかなにかと参考にしたりすることもあるのですけれど、

そこにさらに脳(音楽の認識者としての人間)を加えて、なぜ人間は音楽を感じるのか、に踏み込んだ一冊となっております。

数学的に音階を組み立てることはもちろんできるのだけれど、ではなぜ全音が今の間隔で、オクターブの音の数を5ではなく7にしたのか、そのあたりも耳の構造から読み解いていろいろ腑に落ちた。

もちろん、すべてが脳内の電気信号に変わることで信号として処理される、といってしまうとそれはそれで味気ないところではありますが、そうはいっても脳の動きはとても複雑なので、さすがに音楽を聴いたことによる感動までは解明できていないといいますか(なんか、ある意味安心)

私ももともと物理を専攻していたので、大学オケ仲間と「音と物理でもっと音楽のことを解明できるんじゃないの」みたいな戯言をいってたなあと(ほんとに言ってただけですが)思いながら、それがいまここにあるのでは、という興奮さめやらぬ感じで読んでました。

音と脳の関係、音階の成り立ち、音楽の成り立ち、なぜ音楽に心動かされるのか、そして最後には音楽とはなにか、言葉と音楽は何が違うのかをケージやリゲティなどの前衛的な作品を引き合いに出しながら締めくくっていて、自分的にはなるほどなあと。ほんと「なるほど」ばかりだった。

とりあえず、音波(空気の振動)と音(音波を耳と脳で処理した結果の感覚)は違うよっていうことだけここに書いておきます。あと、緊張と緩和大事。これはしばらくネタとしてしゃべってそう。

音楽関係者はぜひ読んでみてください。特に理系な人ならはまるのでは。

「名曲の曲名」を読みました

読んだのはちょっと前なんですが、なにしろ発売日前に著者本人(茂木さん)から買いまして、感想は発売日以降にしようかな、っていうことで。

本のタイトル通り、クラシックの楽曲のタイトルに秘められたいろんなお話という感じ。それを通していろんな名曲が紹介されたり、ちょっとしたエピソードがちりばめられていたり。

バッハのBWVって、連番でついてるわけじゃなかったのか、、、というのが実は初耳で、だから自分が目にするのはほぼ1000番台のものばかりだったんですねえ、と。

「展覧会の絵」なども確かに、標題ついてなかったら、なんかちょっと長い組曲だなあ、ってなってたかもですね。ラヴェルが編曲することもなく、埋もれていたかも。。。

文体も茂木さんの軽やかな口調で、ところどころにだじゃれ的なものが良く登場するんですが、それがまた先日指揮をしていただいた際の練習の風景とリンクして(ほんとにこういう感じで話をされていた)、本番直後の余韻反芻にもなりましたw(練習中でいうと練習番号を指定する際の「だいごろうのD」が衝撃的だったのも初回練習までで、その後「カトちゃんのK」「カトちゃんのP」とか「エイリアンのE、、、ってエイリアンはAか・・・」とか、そんな感じでしたしね)

ちなみに、本人から買ったという話で、サインもしてもらいました。「伊藤」だと普通すぎるのでアルファベットの「K」でお願いしました。

「日本の作曲家 芥川也寸志」を読みました

来年は生誕100年、芥川yearですからね。

運良く機会に恵まれて、来年の本番で2曲を演奏することになっているわけでして、そんなわけで読んでみました。

普通に映像が残っているほどの最近の人(といっても昭和ですが)、かつ日本人ということもあって、生い立ちは今まで読んできた他の作曲家よりも格段に親近感があるといいますか。

これを機にいくつか他の曲も聴いてみましたが、確かに現代音楽っぽい難解そうなものもありますが、そうではなくて普通にもっと演奏されてもよさそうな曲もちらほらと。世界的にみれば東洋の片隅の音楽家はあまり演奏される機会に恵まれないかもしれない(録音少ない)けれど、同じ国の作曲家としてはもっと僕らも演奏していけたらいいなと改めて思った今日この頃です。もちろん、芥川さんだけじゃなくて他の日本人作曲家の作品もそうですが。

ちなみにネットに転がっている映像をみた感想「普通に育ちのいいイケオジやん」ほんまに。まあ、文豪の子どもなんで育ちがいいのは当然か。

日本の音楽の発展に多大な影響をもたらせた音楽家の一人。他の人のも読んでみたいですね、というかいろんな曲を聴いてみようかなと。

「乙女戦争」を読みました

マンガはあまりこちらに書かないんですけれど、これはね、と。

まず、整理しますと。

チェコに「乙女戦争」という伝説があります。ざっくりいうと男 vs 女、なので乙女戦争(娘たちの戦い、とも訳される)。伝説です。で、そこに女側の勇者として「シャールカ」という戦士がいました。この彼女に絡んだエピソードは結構有名らしく、それこそスメタナ作曲の「わが祖国」の3曲目「シャールカ」はこの伝説のエピソードが題材。

それとは別に史実として「フス戦争」という戦争がありました。15世紀ボヘミアあたり、キリスト教の一派「フス派」を異端視したカトリック(&神聖ローマ帝国)vs フス派の戦争。

で、このマンガは実際にあった「フス戦争」を題材にしたお話です。ちなみに表紙になっている主人公の女の子(フス派)の名前は「シャールカ」。

もともと、先に触れた「わが祖国」をオケで練習しているところで、スメタナ関連の書籍って手に入らないんだよなあ、と思ってたらこれを見かけまして、戦争物を全巻買うのは少し躊躇していたのですがKindle Unlimitedという便利な仕組みがあるのでそれを使って一気読みしました。

いや、もうね、戦争物は本当につらいのです。マンガだから絵面になっている分なおさらなのか、1巻の冒頭からつらい描写が多すぎて・・・時代的なものもあって(略、自粛)まあ、なのである程度流し読みです。じっくり読むと精神つらい。

数巻読んだ時点ではとにかくシャールカちゃん生き延びてって思ってたわけだけれど、こういう話って最後はどちらにも転ぶうるしね。なにより史実としてフス派は負けているので。さすがに最後はじわっとしたけれど、彼女にどういう結末が待っていたのかはぜひ手に取って確認してみてください。

さて、スメタナの「シャールカ」弾いている時はなんか普通にこのマンガの戦闘シーンとか行軍シーンが浮かぶようにはなったので、演奏にも役に立つといいな。(わが祖国の後半3曲を演奏するならより一層このフス戦争が直接関係しているんですが、今回は前半3曲だけなので)

せっかくKindle Unlimited試してるので、期間中にもっと気楽なものを読もっと。

「犯罪心理学者は見た危ない子育て」を読みました

学校関係からちょっとオススメされまして、そしてちょうど読む本ないタイミングだったのでさくっと。

自分的には子育て後半戦には突入していると思っているんですが(あと10年も経たないうちにみんなが独立する、はず)、そんなわけでちょっと今さら?かなと思いつつページをめくってみたけれど、いろいろうなずけること盛りだくさんで今からでも参考になりそうなことたくさんあったわ。

というか、基本的に犯罪を犯した子の話からスタートするので、そしてちょうどまさにそういう時期(思春期から青年期)にさしかかっているっていうところなので、その意味ではドンピシャだった。

自分は大丈夫、うちの家族は大丈夫、と思い込まずに、できるだけ客観的に見られたらいいんですけどね、難しいですよね。

なんでもバランス大事なので、極端でなければ大丈夫なんですけれど、とはいえ、程度問題ではあるけれどやっぱり偏ってはいるよねえ>自分、と省みながら。

たまにはこういう本もいいですね。成功体験の本はとくに読むモチベーションあがらないですが、こういうのは逆に参考になりそうで。というか、子育て関係の本まじめ読んだの、初めて?超ひさしぶり?文章も読みやすくて通勤時間だけで1週間もかからなかったです。

ちなみに、冒頭を読みながら思ったことは「あ、これNewtonで読んだわ」でした。たまにNewtonで心理学系の特集が組まれることがあるんですが、そういうところで結構触れられてる話もあって、心理学は科学ですからね、と。

「ドヴォルジャーク (作曲家・人と作品シリーズ)」を読みました

オケで演奏する作曲家シリーズ。今期はこれだけかなあ。

スメタナの指揮でビオラ奏者だったところにはじまり、リストとここでつながってくるのかそういや後進の指導に熱心でしたもんね>リスト、とか、ブラームスとはわりと仲良しさんでブラ3とドヴォ7が縁があるのはなんかオケ的にも縁があるなあ、とか、そういうここでその話が出てくるか!なんか張り巡らされた伏線が回収されてるみたい!、とまあもちろん史実なのでそういうこともあるわけなんですけれど、勝手にそういう盛り上がりをしてしまったり。

そういやピアノとかあまり聴いたことなかったけれど、ピアノ協奏曲は結構好みだった記憶があるけれど、そういうのも聴いておきたいですね、って思ってBGM的にそれどころじゃないから後回しになったりしてますが、ピアノくらいなら普通に作業BGMにできそうだった。

なんかこう、音楽の才能があるけど、他の勉強を強いられて、でも音楽の道をあきらめられなくて、みたいな話は今も昔もありそうだけれど、ここは完全に成功者バイアスなのでこの影にたくさんの音楽家を目指した人たちが・・・とふと思った今日この頃。

オケ的にはチェコシリーズなのでスメタナの本も探しているんですが、あるにはあるんだけれど、もはや絶版で普通には手に入らない(ネット上ではプレミアついてる)のでどうしたものかなあ、というところです。近くの図書館とかにも置いてなさそうだったしね。

じゃ、次なに読もうかな。

「犬神博士」を読みました

なんか読む本無くなったなあ、と思った時はなぜか家にたくさんあるこのシリーズ(文スト表紙シリーズ)

そういえば、ちょっと前に森先生の(舞姫とかね)を読んでいたのだけれどストーリーがいろいろもやもやして途中で断念していたのでした。アニメでは「Q」(↑表紙の子)はあまり好ましいキャラじゃなかったけれど、それもさておき。

わりかし普通にさくさく読めるおもしろい話でした。ミステリーでもアクションでも恋愛でもコメディでもなんでもないけれど、小さな子どもが無双する話。「犬神」どこにいったっけ?とか言ったら負けなんだろうな。

読みやすかったのは、作者自体が福岡出身(読みはじめてから知った)だし、物語の舞台も福岡なので地名も含めて馴染みがあったのもあるかも。あと、会話も普通に読めていたのだけれど、これは方言なんだろうな、他の地域の人からすると読みにくいこともあるんだろうな、きっと。

ちなみに、主人公のチイがこの「Q」っぽいよね、見た目の雰囲気が、と思ったり。

さて次はなにを読もうかな。おださくにするか。

(ドグラマグラも読んでみたいけれど、この表紙シリーズではでてないのよねえ・・・)

『「ネコひねり問題」を超一流の科学者たちが全力で考えてみた』を読みました

Newton特集オススメの本を読んでみる企画はこれでひと段落。

「ネコひねり問題」っていうのはあれですね、ネコは落下する時に必ず足から着地するというやつです。その話で500ページ弱もあるわけですが、それだけを話題にしているわけではなく、ネコひねり問題をキーとした科学技術史の本という感じでしょうか。

落下状況を確認するには写真などに収める必要がありますよね、ってことで写真技術の歴史といった具合。ほかにも脳や神経/筋肉といった生物系の話もありつつ、もちろん落下といえば物理なので、ニュートン力学から相対論を経由して量子論、宇宙物理学まで話は進んでいきます。

ひねりを再現するという意味ではシミュレーションするための計算機(コンピュータ)からロボットまで。宇宙飛行士が無重力化でどうやって体勢を変えるか、なんていう話も。

これらすべてがネコにつながっているというわけなのでネコは奥が深い。

最後には科学者とネコっていうことで、論文の共著者となったネコのエピソードなど、ネコ三昧の一冊です。ハッブル望遠鏡のハッブルさんの飼い猫の名前がコペルニクスだったのは思わずニヤニヤしちゃいますね、

物理学は物事を単純に記述できることを目指すっていうのはなるほど確かにそうだった。だけど、ネコひねりはたった1つの解を持つわけじゃなくて、複数解の合わせ技っぽい雰囲気。

ちなみに自分はどちらかといえばイヌ派ですけれど、それはさておきおもしろい一冊でした。