「乙女戦争」を読みました

マンガはあまりこちらに書かないんですけれど、これはね、と。

まず、整理しますと。

チェコに「乙女戦争」という伝説があります。ざっくりいうと男 vs 女、なので乙女戦争(娘たちの戦い、とも訳される)。伝説です。で、そこに女側の勇者として「シャールカ」という戦士がいました。この彼女に絡んだエピソードは結構有名らしく、それこそスメタナ作曲の「わが祖国」の3曲目「シャールカ」はこの伝説のエピソードが題材。

それとは別に史実として「フス戦争」という戦争がありました。15世紀ボヘミアあたり、キリスト教の一派「フス派」を異端視したカトリック(&神聖ローマ帝国)vs フス派の戦争。

で、このマンガは実際にあった「フス戦争」を題材にしたお話です。ちなみに表紙になっている主人公の女の子(フス派)の名前は「シャールカ」。

もともと、先に触れた「わが祖国」をオケで練習しているところで、スメタナ関連の書籍って手に入らないんだよなあ、と思ってたらこれを見かけまして、戦争物を全巻買うのは少し躊躇していたのですがKindle Unlimitedという便利な仕組みがあるのでそれを使って一気読みしました。

いや、もうね、戦争物は本当につらいのです。マンガだから絵面になっている分なおさらなのか、1巻の冒頭からつらい描写が多すぎて・・・時代的なものもあって(略、自粛)まあ、なのである程度流し読みです。じっくり読むと精神つらい。

数巻読んだ時点ではとにかくシャールカちゃん生き延びてって思ってたわけだけれど、こういう話って最後はどちらにも転ぶうるしね。なにより史実としてフス派は負けているので。さすがに最後はじわっとしたけれど、彼女にどういう結末が待っていたのかはぜひ手に取って確認してみてください。

さて、スメタナの「シャールカ」弾いている時はなんか普通にこのマンガの戦闘シーンとか行軍シーンが浮かぶようにはなったので、演奏にも役に立つといいな。(わが祖国の後半3曲を演奏するならより一層このフス戦争が直接関係しているんですが、今回は前半3曲だけなので)

せっかくKindle Unlimited試してるので、期間中にもっと気楽なものを読もっと。

「犯罪心理学者は見た危ない子育て」を読みました

学校関係からちょっとオススメされまして、そしてちょうど読む本ないタイミングだったのでさくっと。

自分的には子育て後半戦には突入していると思っているんですが(あと10年も経たないうちにみんなが独立する、はず)、そんなわけでちょっと今さら?かなと思いつつページをめくってみたけれど、いろいろうなずけること盛りだくさんで今からでも参考になりそうなことたくさんあったわ。

というか、基本的に犯罪を犯した子の話からスタートするので、そしてちょうどまさにそういう時期(思春期から青年期)にさしかかっているっていうところなので、その意味ではドンピシャだった。

自分は大丈夫、うちの家族は大丈夫、と思い込まずに、できるだけ客観的に見られたらいいんですけどね、難しいですよね。

なんでもバランス大事なので、極端でなければ大丈夫なんですけれど、とはいえ、程度問題ではあるけれどやっぱり偏ってはいるよねえ>自分、と省みながら。

たまにはこういう本もいいですね。成功体験の本はとくに読むモチベーションあがらないですが、こういうのは逆に参考になりそうで。というか、子育て関係の本まじめ読んだの、初めて?超ひさしぶり?文章も読みやすくて通勤時間だけで1週間もかからなかったです。

ちなみに、冒頭を読みながら思ったことは「あ、これNewtonで読んだわ」でした。たまにNewtonで心理学系の特集が組まれることがあるんですが、そういうところで結構触れられてる話もあって、心理学は科学ですからね、と。

「ドヴォルジャーク (作曲家・人と作品シリーズ)」を読みました

オケで演奏する作曲家シリーズ。今期はこれだけかなあ。

スメタナの指揮でビオラ奏者だったところにはじまり、リストとここでつながってくるのかそういや後進の指導に熱心でしたもんね>リスト、とか、ブラームスとはわりと仲良しさんでブラ3とドヴォ7が縁があるのはなんかオケ的にも縁があるなあ、とか、そういうここでその話が出てくるか!なんか張り巡らされた伏線が回収されてるみたい!、とまあもちろん史実なのでそういうこともあるわけなんですけれど、勝手にそういう盛り上がりをしてしまったり。

そういやピアノとかあまり聴いたことなかったけれど、ピアノ協奏曲は結構好みだった記憶があるけれど、そういうのも聴いておきたいですね、って思ってBGM的にそれどころじゃないから後回しになったりしてますが、ピアノくらいなら普通に作業BGMにできそうだった。

なんかこう、音楽の才能があるけど、他の勉強を強いられて、でも音楽の道をあきらめられなくて、みたいな話は今も昔もありそうだけれど、ここは完全に成功者バイアスなのでこの影にたくさんの音楽家を目指した人たちが・・・とふと思った今日この頃。

オケ的にはチェコシリーズなのでスメタナの本も探しているんですが、あるにはあるんだけれど、もはや絶版で普通には手に入らない(ネット上ではプレミアついてる)のでどうしたものかなあ、というところです。近くの図書館とかにも置いてなさそうだったしね。

じゃ、次なに読もうかな。

「犬神博士」を読みました

なんか読む本無くなったなあ、と思った時はなぜか家にたくさんあるこのシリーズ(文スト表紙シリーズ)

そういえば、ちょっと前に森先生の(舞姫とかね)を読んでいたのだけれどストーリーがいろいろもやもやして途中で断念していたのでした。アニメでは「Q」(↑表紙の子)はあまり好ましいキャラじゃなかったけれど、それもさておき。

わりかし普通にさくさく読めるおもしろい話でした。ミステリーでもアクションでも恋愛でもコメディでもなんでもないけれど、小さな子どもが無双する話。「犬神」どこにいったっけ?とか言ったら負けなんだろうな。

読みやすかったのは、作者自体が福岡出身(読みはじめてから知った)だし、物語の舞台も福岡なので地名も含めて馴染みがあったのもあるかも。あと、会話も普通に読めていたのだけれど、これは方言なんだろうな、他の地域の人からすると読みにくいこともあるんだろうな、きっと。

ちなみに、主人公のチイがこの「Q」っぽいよね、見た目の雰囲気が、と思ったり。

さて次はなにを読もうかな。おださくにするか。

(ドグラマグラも読んでみたいけれど、この表紙シリーズではでてないのよねえ・・・)

『「ネコひねり問題」を超一流の科学者たちが全力で考えてみた』を読みました

Newton特集オススメの本を読んでみる企画はこれでひと段落。

「ネコひねり問題」っていうのはあれですね、ネコは落下する時に必ず足から着地するというやつです。その話で500ページ弱もあるわけですが、それだけを話題にしているわけではなく、ネコひねり問題をキーとした科学技術史の本という感じでしょうか。

落下状況を確認するには写真などに収める必要がありますよね、ってことで写真技術の歴史といった具合。ほかにも脳や神経/筋肉といった生物系の話もありつつ、もちろん落下といえば物理なので、ニュートン力学から相対論を経由して量子論、宇宙物理学まで話は進んでいきます。

ひねりを再現するという意味ではシミュレーションするための計算機(コンピュータ)からロボットまで。宇宙飛行士が無重力化でどうやって体勢を変えるか、なんていう話も。

これらすべてがネコにつながっているというわけなのでネコは奥が深い。

最後には科学者とネコっていうことで、論文の共著者となったネコのエピソードなど、ネコ三昧の一冊です。ハッブル望遠鏡のハッブルさんの飼い猫の名前がコペルニクスだったのは思わずニヤニヤしちゃいますね、

物理学は物事を単純に記述できることを目指すっていうのはなるほど確かにそうだった。だけど、ネコひねりはたった1つの解を持つわけじゃなくて、複数解の合わせ技っぽい雰囲気。

ちなみに自分はどちらかといえばイヌ派ですけれど、それはさておきおもしろい一冊でした。

「ビジネス教養としての気象学」を読みました

Newtown特集オススメの本、第2弾。今回も気象関係の本ということで。

空とか雲とかという目に見えやすい話でもなく、数式が出てくることもなく、そういう感じの気象の本。天気の基礎から、どうやってデータを観測・収集しているのか、そのデータをどう使って予報をおこなっているのか、そういった自分たちに天気・気象情報が届くまでの裏側の話、という感じでしょうか。

自分自身、天気予報系のアプリなどいくつも手がけておりますので、馴染みのある気象データもたくさん出てくるんですけれど、あれはこうやって作られていたのか、みたいなそういう発見があってなかなかおもしろい。

純粋に開発のネタもちらほらあったようななかったような。

予報は結局のところ確率だけれど、その確率をどうやって伝えるのかが難しい、とあって、確かにそれはそうだな、と。降水確率って、今でも普通に伝わりにくいことありますよね。100%だからといってめっちゃ降るわけじゃないし、言わば必ずちょっと(1mm)は降る、ってことですし。

異常気象、地球温暖化、そして防災、どれもこれも気になる避けられないキーワードばかりですが、その取っ掛かりをつかみつつ、ほんと予報業務って大変だなあ、と。

まあ、ただ、やっぱり天気ってものすごく身近なものですし、だから10数年前にアプリを作ろうと思ったのもありますし、こういう本を通してみんなにとってももっと身近になるといいなと思った今日この頃でした。

(なんか、先日の本とブログの結びがあまり変わらない気がするけれど気にしないし、宣伝もしておく> そら案内 | ホーム

「音楽家の伝記 はじめに読む1冊 メンデルスゾーン」を読みました

ようやく読みましたメンデルスゾーン。

いつも読んでる音友の評伝じゃないのは、音友のいつものシリーズからはメンデルスゾーンの本でてないんですよね、と。んで、それっぽい本とかもあまりなくて、というかメンデルスゾーン関連の本がほぼなくて、そんなわけでここにたどりつきました。今回は伝記で。

子どもでも読めるというスタンスなのでかなり読みやすかったです。おかげで1週間くらいで読んじゃった。

さて、メンデルスゾーン、お金持ちの坊ちゃんで天才音楽家、みたいなイメージでしたけれど、もうなんていうかね、父親は大手私立銀行の設立者で18000坪の邸宅持ち、容姿端麗、教養も知識もあって真面目、絵も上手だし、そして音楽は天才的。という、そんな主人公、ラノベにもいないっすよ。もしかして転生者か?みたいな。

いろんな天才エピソード満載なので、それは実際に読んでいただくとして、他の作曲家みたいなダメ人間っぷりとか生活に困ってとかそういうのがないのでそういう意味ではかなり新鮮。あまりやきもきせずに読めたかなあ。まあ、ただ、38歳の若さでこの世を去ってしまったので、それはつらい話。もうこれは過労でしょ。真面目人間がんばりすぎ。

あと、ユダヤ人的な話があって死後1世紀ほど封印されたかのようになっていたので、そのあたりはちょっと不憫です。

そういや、ここにも出てきましたね、ベルリオーズ。ほんとこの時代のどの作曲家の話にも出てきますね。

今現在、超初期の作品と向き合っているところですけれど、これをちょっとしたスパイスにできたらいいなあ。(ちなみに、スコットランドとか真夏をやった時にこれを読んでいればなあ、とかそういうのはよくある話で)

結構読みやすかったということもありまして、すでに音友の評伝を読んだ作曲家でも、次に出会った時はこちらの伝記に目を通してもいいかもね、と。

「読み終えた瞬間、空が美しく見える気象のはなし」を読みました

毎月購読しているNewtonの最新号で、いろんな科学系の書籍を紹介する特集が組まれていたんですが、その中でお薦めされていた本。

もちろん、自分は空のことには大変興味がある人ですし、荒木さんの本は読んだことがなかったのでこれを機に、と。

気象学系の専門書に書いてあるようなことをかみ砕いて説明されていたり(そのおかげで専門書で挫折した身としても読みやすかった)、いつの間にか空と雲に興味を持った子との会話に出てくるような雲や虹の話があったり、空を見上げたり雲を眺めたりするの好きな人はとりあえず読んだら?って感じですね。

SNS絡みの話もちょいちょい出てくるのが今風で。科学的アプローチの啓蒙みたいなものちらほらとね。

自分で予報をするわけじゃないけれど、天気予報のアプリとか開発している身としては、レーダーの話とか生の配信データを見てたりするので「そうそう、そうよねえ」みたいなこともあったりして、そういうちょっと違った楽しみ方もできました。

すぐにすべてを知識の糧として使えるわけじゃないけれど、ちょっとくらいは空の見え方が変わったかな、と、冬空を見上げながら思う今日この頃です。

こういう本をきっかけにみんなが空を眺めるようになるといいなあ。(そして、天気予報にもっと興味を持って、アプリを使ってくれたらいいなあ。宣伝w> そら案内 | ホーム

「可能性にアクセスするパフォーマンス医学」を読みました

今年一冊目、といいつつ去年末ごろからのんびり読んでいたけれど、積ん読たまってきたので一気に読み終えたという感じで。

当然ながら別に格闘系でもなければ、そもそもスポーツもほぼしない人なんですけれど、ちょっとタイムラインに流れてきて自分の体を使うっていうことに興味があったので、と。まあ一応趣味で楽器を弾いたりしていますしね。

イメージ大事。脳がどう認識しているのかとか、筋肉がどう動くのかとか、骨がどうつながっているのかとか、そんな医学的な難しい話はさておいても、ちょっと意識するだけで変わることもあるんだろうな。

もう最近は全然やってないけれどボルダリングやってる頃に読んだらまた壁ののぼり方が変わったかもしれないとかそんなことを思いつつ、今はとりあえずいい感じに応用できないかって意識しながら演奏していきたいところです。

「シベリウス (作曲家・人と作品シリーズ)」を読みました

作曲家シリーズもこれでひと段落。自オケの今シーズンで弾く作曲家は全部読んだことになりますね。

今まで読んできた中では比較的最近の作曲家シベリウスさん。「フィンランディア」作ったしフィンランドの人よね?くらいの認識でしたが、あのあたりはほんとに歴史的にいろいろと複雑な事情があるようで。

まあ、どの作曲家も18〜20世紀くらいなので社会的には激しく動いているタイミングもありますし、世界史で習うような出来事が普通に作曲の横で起きてるみたいなこともありますよね。

さて、シベリウスさん、お酒あり、タバコあり、作曲するために家族と別居してみたり、そんな感じのわりとありがちなパターンだよねえ、と。奥さん一筋だったのがまだましか、とか。やっぱりお金がなくて困ってるっていうところですが、このくらいの時代になってくると著作権の概念も生まれてきたようで、演奏されることで得られる収入もあったっぽいですね。

交響曲、そういえば2番3番は弾いたことある(1番もよく演奏される)けれど、3番もすぐには口ずさめないなあ、と思って3番以降をもう一度聞き直してみました。

3番、こんな曲だった。今思えばまだ普通にわかりやすい部類だし、かっこいい
4番、確かに難解・・・当時これは大変そう
5番、かっこいい〜いつかやりたい
6番、きれいですね
7番、こっちもきれい、これもいつかやりたい

もちろん個人の感想ですが、4番を聴くと他のはまだなんとなくすんなり入ってきそうな気がしました。気のせいかもだけど。

流行に流されることなくとにかく自分の音楽を追求したシベリウスさん。8番が有耶無耶に無くなってしまった(全部燃やしたのでは、という話)のはほんとに残念ですね。でも本人が納得いかなかったら仕方ないかあ。

さてこれでひと段落なので次はどのジャンルを読もうかな。