「ハイドン (作曲家・人と作品シリーズ)」を読みました

先日のモーツァルトから同時代のハイドンへ。

ハイドンさんって、あまり人物像のイメージがなかったんですけれど、読んでみてある意味なるほど。いい人だ。そして、波乱万丈感はそんなにない。小さい時に歌の才能を見いだされて田舎からでてきて、音楽の勉強して、宮廷に努めて、真面目に曲を作って、作り続けて、長生きして、そんな感じ。

おもしろエピソード少ないから、自分の中にあまりイメージがなかったという話ですね。あと、シンフォニーというより弦楽四重奏のイメージも強くて、そっちは疎いからというのもある。

強いていえば夫婦仲がそんなに良くなかったことくらいか。まあそれも仕方ない感じあるし、だからといって女性関係がひどかったわけでもない(愛人っぽいのはいたみたいだし、ハイドン側からの情報しかないからほんとのところはわからないけど)

それと、良くも悪くも、曲が失敗したという話はあまりなさそうでした。「悪くも」というのは、未来を先取りしたような斬新な曲はなかったという意味で。同時代のモーツァルトとか、ベートーヴェンだと新曲が受け入れられなかったりしてたんでね。

交響曲などのその愛称についても小ネタとしてちりばめられていたのでいろいろ納得。自分で弾く機会でもないとあまりちゃんと調べないですからねえ。いずれにしても、日本語の熟語に訳されたものには確かに仰々しいことあるな。「告別」はやり過ぎな感じでせめて「送別」くらいだったのかも。「驚愕」も、だけどこっちはほかに思いつかなかった。

そうそう、大きな新発見としては「弦楽四重奏」の元祖だってことか。当時は、演奏者の編成や技量に合わせて曲を作るのが当たり前だったこともあって、なにやらたまたまそこにいるメンツがヴァイオリン2本、ヴィオラ、チェロだったから、ってことらしくて偶然の産物だったとか。もちろん、偶然とはいえ、その編成が良かったからこそ今に至るまでの巨大ジャンルになってるんですけれど。

とにかく長生きで筆を置くまで最前線で曲を作り続けていたってこともあって、モーツァルトやベートーヴェンとの絡みもいろいろあって、18〜19世紀の音楽史を垣間見たような印象でした。

さてこれでモーツァルト & ハイドンに向けての糧になったかなあ。