「同志少女よ、敵を撃て」を読みました

いやもうほんとにおもしろかった。

アガサ・クリスティー賞受賞作。しかも、史上初の選考委員全員が最高点ってことで話題になっていたのでふと手に取ってみました。(めずらしくミーハー、きっとクリスティーの名前に惹かれた)

クリスティー賞といってもミステリーとは関係なく、戦争物。第二次大戦、ロシア、タイトルのように女性の狙撃手の話。それだけでなんかつらい話だなあと想像できてしまうわけですが、せっかく手に取ったので読み進めてみます・・・と思ったら、ページをめくる手が止まらない。

女性兵士を題材にした話といえばちょっと前に「戦争は女の顔をしていない」が漫画化されて話題になっていた気がしますが、やっぱりつらそうだったのでそちらには手が伸びてませんでした。のに、本作に手が伸びたのはきっと絵がないから。想像だけの方がつらくないこともある、多分。

狩に行って帰ってきたら敵兵に村が襲われていて、生き残った少女が狙撃手として復讐を、という話。戦果を上げつつ、戦争はどんどん進み、ハッピーエンドになんかなるわけない、と最悪の事態を念頭に置きつつ、終盤へ・・・(続きは本文をどうぞ)

戦争はつらいよ、ほんとに。もちろん、実体験はないけれど。まさに悪魔に魅せられて。でもみんなが自分の正義のために、自分の信念のために突き進んだ結果、こうなってしまったのかと複雑な思い。

とても満足度の高い一冊でした。たまには賞をとったり、大々的に宣伝されている本を読んでみるのもいいですね。

なんでこんなに読みやすかったんだろうと思った時に、そういえば日本人作家の作品を読むのがひさしぶりだった、というのがもしかしたら関係あったりなかったり。単に相性だけの話かもしれませんけれど。

さらに余談ですが、戦争物、特に世界大戦関連ってほぼ読んだことない気がしますが、ちょっとしたミリタリー系の予備知識が、ガルパンや幼女戦記によって脳内補完されてるなと思った今日この頃でした。

「夏の夜の夢」を読みました

ふと最近本(物語)を読んでないなって思って、そういえばと手に取ったのがこれ。(最近は「真夏」ではなく「夏」とするのも多いみたいですね。midsummer=夏至で「真夏」ではないので)

シェイクスピアをちゃんと読むのは初めてな気がする(ロメオとジュリエットはいろんな形で読んだり観たりした気がしますが、それはそれとして)

劇なのでもちろん文章は全部セリフ。自分で登場人物の動き含めて情景を全部丸ごと想像しながら、というのも一興ですね。そのせいで登場人物になかなか思い入れが出てこなくて、最初のうちは誰が誰だか全然覚えられなかったけれども。

恋愛事情の絡み合った男女2組(+1組)が暗い森の中をうろうろして、そこに惚れ薬というアイテムが出てくれば、それはもうドタバタ喜劇の始まりですね。もともと全然ストーリー知らなかったけれど、途中から「ああ、これはこうくるな」みたいな感じになってきました。最後はみんなハッピーでよかったよかった。

今回読んだ訳書は電子でしか手に入りにくそうだったので、Kindle版で読みました。こういうのは文庫で読んだほうが、、、とは思っていたのですけどね。

でも、Kindleでよかったです。というのも文章中にたくさんある脚注がその場で解決できる(タップしたらすぐに読める)のすごい便利だった。この勢いで上述のように登場人物リストがいつでも表示できる、とかあったらいいんだけどな。(関係ないけど iPad mini 6thでの読書体験がよすぎる)

そんなに長い話でもないのでわりかしさくっと読めたし、たまにはこういうものよいですね。

ちなみに、なんでいきなりシェイクスピア?っていうのはまたそのうち。ってもったいぶるほどのことじゃないんだけれど。

「伝わるデザインの基本」を読みました

あまり資料を作ることはないんですけれど、気になった本を手に取ってみた。

増補改訂3版ということでパワーアップしているらしいです。これしか読んでいないので違いはわかりませんが。

ノンデザイナーズ・デザインブックのさらに実践より、資料作成用って感じでしょうか。

実践的なことがベースになっていて、基本的にOfficeでやれることを、っていうスタンスみたいですが、ことごとくOfficeのデフォルト設定が無視されていて(というか「デフォルトのままでは使わないほうがいいです」みたいにいわれていて)、それがいちいちニヤニヤしてしまう。

なんとなくやっていたことが、まあそれっぽい感じになっていたり、実は全然逆効果だったり、そういう気付きもたくさんありました。

とはいえ、上述のように、普段ほとんど資料とか作る人じゃないのですけれど、勉強会のスライドとか音楽関連のちょっとした印刷物とか、そういうの作る機会があれば、思い出したい。というか、再び手に取ろう、と。

全体として読みやすいですが、Before – Afterを眺めているだけでも役に立ちそうな気がするし、なんか、あらゆる人が読んでも損はないのではないかと。学校の先生とか、読んでほしいなあ。

「Real World HTTP」を読みました

自分の本業はアプリ屋さんですが、そうはいってもWebの世界と無縁なわけもなく日々サーバにリクエストするコードを書いている今日この頃でして、そんなこんなでふと教えてもらったこの本を手に取ってざっくり読んでみました。

ちなみにGoは無知なのでGoによる実装パートは飛ばしまして、副題「歴史とコードに学ぶ〜」のうち「コード」のほうは手付かずです。

前半のHTTP/1.1までのくだりでは、あーこれはこういう意味だったのかとか、ここで昔苦労したよなあ、とかそんな感じでしたし、後半では最近よく聞くワード(第2版は2020/4発売なのでわりと最近の話題もカバーしている)はこういうことだったのかと、なんとなく雰囲気わかったかなあ、と。

なにしろ自分でサーバ側の実装をおこなうことはほとんど無いですが、それでも、自社/他社のいろんなサーバにアクセスするのは日常茶飯事なので、これはなにが起こってるの?とか仕様がよくわからない?っていう時にリファレンスとしても使えそう。

そんなわけで、私と同じようにクライアント側の人も目を通すといろいろと役に立つかもしれませんね。

 

直接は関係ないけれど、巷をにぎわせていたHTML5って、もう廃止されてたんですね。知らなかった。

どうしてHTML5が廃止されたのか | フューチャー技術ブログ(2021.6.21)

「三体 III 死神永生」を読みました

待ちに待った最終巻。予約購入して、先週のオケ本番終わってからじっくりと読みました。

今回は前作を読み直して、IIIが発売されるまでに準備万端。

IIの時にもうこれでほぼ終わりじゃないの?っていう気分すらあったのに、それが完全に吹き飛ぶこの最終巻。どこまで読み進めていってもまったく先の展開が読めません。まじか、まじか、まじか、の連続。

いやあ、ほんとにおもしろかった。

ここ最近ずーっと三体読んでたので、子に「それどんな話なん?」ときかれて「宇宙人が攻めてくる話」ってざっくり答えていたけれど、そんなどころの話じゃ全然無かったよ。

想像力は無限ですね。ほんますごいわ。

ちょっと気持ち落ち着いてから、もう一回最終巻は読み直しましょうかね。

SF好きな人もそうでない人も是非オススメ。今はIとIIがKindle半額やってるみたいですよ(私は単行本ですが)

 

読んでる途中のメモ的ブログ。

三体 第一部 – itokの日記(2021.5.13)
三体 第二部 – itokの日記(2021.5.18)
三体 III 上巻 – itokの日記(2021.6.2)
三体 III 下巻 – itokの日記(2021.6.4)

「ひとり会社で6億稼ぐ仕事術」を読みました

冬休みの読書ということで、FBの知人の書いた本を読んでみました。ひとり会社ですしね。

もちろん、これで億を稼げるわけもないですが、著者が並々ならぬ努力でもって今の場所にいるのだなあということを再認識。

私はベースはどこまでいってもエンジニアなので少し立ち位置は違うとは思うのですが、それでも心に留めておくべき点、やっぱりこれは大事だよねっていうところ、そんなことがいろいろと。

「やってみる」「逃げてもいい」「無駄なことはない」このへん大事。「目標を持つ」がずっとふわふわしているので、ちゃんと考えたほうがよいよねえ、と思って5年経ったなあ。

1年のうちめずらしく比較的長い休みであるこの年末年始にかけて、こういう本を読んで次の一手を考えるっていうのはよい時間ですね。きっと。(本自体はさらっと読めました)

ひとり会社の人でもそうでなくても、冬休みの読書に(もう年末まっただ中ですがまだ間に合いますよね)是非どうぞ。

「一人称単数」を読みました

遅ればせながら、大好きな村上春樹氏の新作を。

発売された時は、ちょうど「三体」を読んでたところだったのでねえ。

短編8編なのでそれぞれ短かったし、すごい読みやすい感じでした。続きが気になって夜更かしするとかもなく、毎晩1話ずつ、みたいな。

もちろんBGMはシューマンの謝肉祭ですよね。以前は氏の作品中に出てくるクラシックの曲を見ては「これ、本を読んでるこの場ですぐに購入して聴けたらいいのに」って思っていたんですが、今やサブスクの時代ですよ。すぐに聴けますね。

まだミケランジェリしか聴けてないけど、AppleMusicにはルービンシュタインもあったので聴こうか。(といってまさにこれを書きながら聴いてます。しかしシューマン、変態やな)

本の影響でシューベルトのピアノソナタ全集も買ったし、シンフォニエッタも聴きまくった時期があったなあ、、、と遠い目。

さて、話をもどして。

短編集なのですが、野球の話はほぼ村上朝日堂みたいだったし、そういうのをはさんでくるのが楽しくてニヤニヤしますな。

猿もいい味出してたし、最後のはなんかめずらしくドキッとして終わりましたね。

というわけで、ファンな人もそうじゃない人も読んでみたらどうでしょう?わりと読みやすいと思うけども。

そういや、最初っから電子で出たの初めて?単行本で買ったけども

「三体Ⅱ 黒暗森林」を読みました

遅ればせながらようやく読みました。第2部。

発売日付近に届いたのに1ヶ月も積ん読してしまってた・・・

ざっくり1週間くらいで読みましたね。晩ご飯を食べてから寝るまでの間、たまに寝る時間が遅くなることも・・・

いやいや、めちゃおもろかったわ。

前作を読み直すことはしてなかったんですが、徐々に思い出しつつ、とはいえ、前作よりは時間の経った後の話なので、雰囲気だけ思い出していればなんとかなった気がします。話が(時代が)ものすごいスピードで進んでいって、え?そんななるの?そうなん?まじで?の連続。

副題の回収もしっかりされていましたが、いやあ、ぞくぞくするわあ。

ちなみに、この副題、日本語だとなんて読むのが正解なんやろ?そして英語は普通に「Dark Forest」だった。でもなんかこのちょっと日本語とも違う漢字の雰囲気がいい感じ。

でも、これ、まだ終わってないのですよね。最終巻の邦訳版は来春だそうです。その時にはちゃんと発売にあわせて1部から読み直しておきますかね。

そういや、アシモフのファウンデーションも読んでなかった気がするから、来春までの合間に読んでみようかなあ。

「会計の世界史」を読みました

ふらっと見かけた本。

会計の歴史、商業の歴史、みたいな感じですかね。

ルネサンスのころから、大航海時代、産業革命、そして世界恐慌をへて現在に至るまで。人はどんなふうにお金をやりくりしてきたのかと。

株式会社の生まれた理由とか、会計イコール帳簿を付けるだけじゃなくなったその経緯とか。

当時の文化や芸術との絡みも書いてあって、普通の歴史というよりはずいぶんと読みやすい。ビートルズのくだりとかはわりかし最近なのでとくに。

一応経営的なこともしているはずなので、そういう視点からも勉強になりました。

ただ、よくあることとしてどうしてもキリスト教・欧米中心の話になるので、これが中東や東洋からの視点になるとどういうふうにみえてくるのかあ、というのは気になったりします。もちろん、結局は西洋からの流れに吸収されてしまったのかもしれませんけれど、中国とかはこのへんどうやってたんだろう。

「WHO YOU ARE」を読みました

久しぶりに読んだ本について。

チームの作り方、というか企業文化の作り方。みたいな本。

自分自身、一応会社経営者っぽい側面もあるわけですが、基本一人会社なので、チームなどとは無縁。とはいえ、なんかこういうのもたまにはいいよね、と。

作り方って書いたけど、別に「この通りにやれば大丈夫!」っていう話では全然なくて(もちろん、そんな注意書きが冒頭のほうにあった)、いろんな企業文化(集合体の文化)について分析して、読み手の参考に、っていう本ですね。

武士道が一つの題材になっているところとか、日本人としては読みやすいのかもしれない。

ちなみに著者前作の「HARD THINGS」は読んでないですが、たまにちょこっと参照されたりしてました。

上述のように、一人会社なので、とくに企業文化の必要性にはせまられていないのですが、それでも、正直さ大事、言行一致大事、とかは心に留めておきましょう。

そうそう「私たちの目標はうまくやることだ。完璧を目指すことじゃない」っていうのは少なくとも自分にとっては普遍的なフレーズな気がしました。

規模を大きくしていくぞっていうベンチャーな社長さんとかは読んでみるとよいのかも。