不審

 家に帰ってくると、なにやらちょっと挙動不審な男の人が向こうからやってくる。辺りをきょろきょろしながらゆっくりと歩いているのだ。まあ、かかわり合いになりたいとも思わないわけだし、幸い既に僕はアパートの階段の前まできているので、なにごともないかのように郵便受けをチェックしていると、なにやら後ろから声をかけられているような気がする。で、振り返ってみると、先ほどの男の人がどうやら僕に声をかけているらしい。しかもかなりの小声で。
 ちょっと、怪しんでいたわけだけども、まあ、ここは自分の家の前だし、というわけで話を聞いてみる。なんのことはない。NHKの集金やさんのようだ。なにやら集金の方へ話が行きそうになったので、それを中断して一言。「あのう、みてもらえばわかるんですけど、いまテレビがないんですよ」一刀両断。話は瞬時に解決しました。なにしろほんとにないわけだし、パソコンのモニタ自体も1つ売ったので、今は普通に1つのモニタがあるだけ、というわけで、怪しいところもない。
 そんなわけで、その不審な男の人も身の潔白を証明できたわけだし、めでたしめでたしである。しかしなあ、あんな小声で、夜道に声をかけられたら、普通びびりますって。声をかけられたのが女の人だったら、すぐに逃げそう。とか、階段を上りながら思ってしまった。
 寒いですな。ほんとに。こんな寒さは、福岡だったら1月とか2月の寒さですよ、多分。この先が思いやられる。


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